選挙カーの運行は、有権者の投票に大きな影響を与えるものです。
候補者に好印象をもってもらえるように、選挙カーを効果的に活用するための注意点をご紹介いたします。
選挙カーにスピーカーを設置するにあたっては、業者に依頼することなく、ご自身でスピーカーや看板などの設備を取り付けることもできます。
もっとも、選挙カーを使用する場合は、使用前に警察署のチェックを受ける必要があるため、安全な運行と使用のために、信頼できる外部業者に外注することも選択肢のひとつです。
選挙カーのスピーカーの出力に関する制限、音量の制限は、特にありません。
しかし、街頭演説や選挙カーでの連呼を行う場合は、
①学校・病院・診療所その他の診療施設の周辺においては、静音を保持するように努め、授業・診療及び療養に支障の無いようにすること
②長時間にわたり同一の場所にとどまってすることのないようにしなければならない
という規定があります(公職選挙法第164条)。
また、スピーカーの設置にあたっては、できるだけ前後の角に設置することで、音が広がりやすくなります。
選挙カーのスピーカー設置において、外部業者に選定する場合は、選挙カーの特殊性をよく理解してもらう必要があります。
例えば、見た目は素晴らしく仕上がったとしても、スピーカーのバッテリーが1日であがってしまい、音が出なくなって選挙活動に影響が出ることも考えられます。
選挙中は、トラブル対応に時間を割くのは非常にもったいないので、選挙期間中を無事に乗り切るためにも、外部業者の方と万全な準備を心がけましょう。
このような点からも、外部業者を選ぶ際には、経験や実績のある業者に依頼することをおすすめいたします。
選挙カーのスピーカーは、レンタルすることも可能です。
スピーカーを購入してしまうと、次の選挙まで保管しなければならず、場所や手間を取る必要がありますが、レンタルの場合にはそのような煩わしさがありません。
選挙カーのスピーカーのレンタル費用の相場は、選挙カーの大きさなどに左右されます。
選挙区が狭く、また、道路幅が狭い地域などでは軽自動車でも十分です。
一方で、国政選挙や選挙区が広い地域では、選挙カー自体も大型の方が、選挙運動を進めやすいでしょう。
選挙カーの大きさによって、スピーカーの個数も変わってきます。
選挙カーのスピーカーをレンタルする場合、少しでも費用を抑えるためには、車両や看板などのレンタルも一緒に発注することで、割引をしてもらえないか交渉することもできます。
選挙運動において、選挙カーのスピーカーを使用する場合、マイクを通しての発声となるため、聴衆にとっては言葉が聞き取りづらいことがあります。
スピーカーを通して話す際には、何よりも分かりやすいこと、言葉の発声が明瞭であることに気を配りましょう。
また、一本調子の文章では、聞いている方も面白くありません。
文章には多少大げさに抑揚をつけることで、聴衆の注意をひきつけることができます。
聴衆の心をつかむためには、難しい言葉を使わないようにしなければなりません。
スピーカーを通して話す場合、それだけでも聞き取りづらくなりますが、周りに騒音があったりすると、余計に言葉のひとつひとつが聞き取りづらいものです。
難しい言葉は理解するのに時間がかかりますし、こどもから高齢者まで、あらゆる人が聞いて分かるような、分かりやすい簡単な言葉選びが大切です。
マイクを使用しながら話す場合、通常よりも少しゆっくりと話した方が、聴衆に伝わりやすく、聞き取りやすいものです。
また、一文を短くすることもひとつのテクニックです。
長い文章で話してしまうと、途中から聞いた方にとっては何のことだか意味が分かりません。
特に、選挙カーに乗っていると、車は基本的に絶えず動いているわけですから、選挙カーが通り過ぎてしまう前に、端的に伝えたいことをスピード感をもって話す必要があります。
はっきりと自信をもって話すことも、聴衆に対して安心感を与えることができます。
聴衆の共感を得るためには、ライブ感のあるような話し方をすることが、ひとつのポイントになります。
決まり切ったセリフを単調に繰り返すよりも、その場その場で状況に応じた話し方をすると、有権者の共感を得やすくなります。
例えば、建物の中から手を振ってくれる人を見つけたら、「二階の窓からありがとうございます!お姿を拝見いたしました!いただきました応援を力に変えまして、これからも、がんばってまいります!」など有権者の方とコミュニケーションを図ることができれば、ライブ感が生まれることになります。
選挙カーはさまざまな場所へ運行することになります。それぞれの場面に応じて、声のトーンやペースを調整することを、心がけましょう。
例えば、街中であれば、周りの騒音も多く、通行人も足早に歩いていることが多いため、発声は大きめに、トーンをあげて、ペースは速めに話した方が伝わりやすくなります。
逆に、静かな住宅街などでは、発声やトーンは落ち着いたものに、ペースも少し落として分かりやすさを重視するとよいでしょう。
スピーカーの使用時には、選挙管理委員会から交付される「表示板」をつけておく必要があります(公職選挙法第141条)。
スピーカー、いわゆる拡声器の使用にあたっては、一揃いに限り使用できますので、別々の場所で同時に使用することがないよう、スタッフ間でしっかりと情報共有するようにしてください。
選挙カーの運行時には、有権者から不快感をいだかれないように、安全に運行することはもちろんですが、他の車両や歩行者に迷惑がかからないよう、周りの状況によく注意しましょう。
また、先ほど述べた通り、病院や学校の周りでは騒音にならないよう配慮が求められます。
葬儀場などの付近も、規定はありませんが、配慮が必要となる場所です。
選挙カーの運行と、スピーカーを使った選挙活動は、賛否両論あるものの、やはり選挙運動においては効果的な手段のひとつであると認識されています。
法令順守はもちろんのこと、候補者のイメージを下げることがないよう、十分に周りの状況に気を配りながら運動にあたってください。
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